環境にやさしい暗室処理

小山貴和夫

  ポイント
 原則的には、廃液処理業者に処理を依頼する
 次善の策として、下記の用件を解決してから下水に流して廃棄する。
 ・現像主薬にハイドロキノンを使っていない現像液を採用する。
 ・停止液は、クエン酸を主剤としたものを採用する。
 ・定着液は、スティールウールで金属銀を取り除く。
 ・各処理液ごとに、大量の水で希釈してから流す。

1、始めに
 
2002年11月にこのホームページ「モノクロ写真研究室」を開設しました。その時から「環境にやさしい暗室処理」の掲載を予定していましたが、なかなか書けず『作業中』とさせていただいてまいりましたことをお詫び申しあげます。
 廃液処理については、近年の写真関係の雑誌や書籍おいては取り上げられておらず調査に時間を有しました。結局、1960年代から70年代に出版されたものにたどり着き参考にさせていただています。またインターネット上の情報には多いに助けられました。また執筆の準備段階では、環境問題の理解を深めるために生物と化学を勉強し直さなければなりませんでした。
 1960〜70年代といえば、私の駆け出しのカメラマン時代にあたり当時はモノクロで仕事をしていました。しかし「暗室作業と環境」の問題などには思いも及ばず今になって学びが浅かったと反省しています。また無処理のまま廃液し環境を汚染してきてしまいました。この反省を原点としてこのコーナーを作りました。
2、公害問題と写真家
 
1950(昭和25)年代後半から日本の経済は右肩上がりの成長を続けていました。朝鮮戦争後の神武景気・岩戸景気・オリンピック景気・いざなぎ景気と続くこの時代を高度経済成長時代というのでしょう。
 1956(昭和31)年、熊本県水俣に奇病が発生していると報じられ、1959(昭和34)年国立熊本大学の研究チームが、「この奇病の原因は、日本チッソ水俣工場の排水に含まれた有機水銀だ。」と発表しました。この報道を読み水俣に向かったのが桑原史成氏で、後に「水俣病」と呼ばれることになるこの公害事件を取材した写真は週刊誌「女性自身」で発表されました。1962(昭和37)年には富士フォトサロンで個展「水俣病」が開催され、三一書房から写真集「水俣病」が出版されました。公害報道の原点といえましょう。氏は、写真学校での先輩であり恩師でもあります。その後多くのフリーの写真家が、水質汚染や土壌汚染が原因となった富山の「イタイイタイ病」、四日市や川崎などの大気汚染など各地で続発する公害を取材したフォト・ドキュメンタリー作品を発表しました。特に米国人写真家ユージン・スミス氏が、水俣に移住して水俣病の患者さん達の撮影を行い発表したことは有名です。
 そのころ公害報道を揶揄するためか、報道写真家を志す若いカメラマンたちは「お前たちだって、現像の時に薬品を流して捨てているではないか」という批判に曝されていました。高校時代には弁論同好会を立ち上げ、社会問題に敏感だった私は、ベトナム戦争の報道写真に感動し写真家を志しました。1967(昭和42)年4月上京して東京綜合写真専門学校に入学しましたが、写真をはじめた途端に周囲から問われた「薬品を捨てているではないか」という言葉は、今も心に刺さっているトゲです。
 下水に流して捨ていたのはもっぱらモノクロ写真の処理液で現像液と定着液です。現像液は、ハロゲン化銀を還元して金属銀にする還元剤とその還元能力を補うためのアルカリ性水溶液からなっています。また定着液はフィルム上の未露光部分からハロゲン化銀を取り除く役割をしていますので、液中には銀イオンがとけ込んでいます。私はこれら薬液を30年以上も棄て続けてきました。私は環境を汚染してきたのです。大いに反省しています。

3、暗室処理液と化学物質過敏症
 
2001年、写真学校で二人の学生が「暗室で気分が悪くなってしまう」と訴えてきました。アレルギー性の体質が原因の化学物質過敏症と思われますが、適切に対応することができませんでした。30年あまりの写真学校での教師生活で中で初めての経験でした。化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎・花粉症・喘息などはアレルギー性疾患といわれていますが、何らかの理由で免疫力が低下しているのでしょう。
 「花粉症やアトピー性皮膚炎・ぜんそくなどの病気はIgE抗体が関与するI型アレルギー反応によって引き起こされます。これらの病気は1965年(昭和40)ごろから日本で発生し始めました。」と平成14年4月21日付の東京新聞で東京医科歯科大学の藤田紘一郎教授が書いています。東京の淀橋浄水場が廃止され塩素による水道水の浄化が始まったのが1965年(昭和40)。アレルギー性疾患が出はじめた年と水道水の塩素による浄水が始まった年が奇妙な符合を示しています。『塩素浄水がアレルギー性疾患の原因である』という説がありますが、一概に否定できないのではないでしょうか。
 塩素浄水が問題ならば私が下水に流して捨てている定着液には、フィルムの未露光部分から塩化銀や臭化銀が溶け出ています。つまり塩素の廃棄をしているということになるのではないでしょうか。と考えれば私の行為は、アレルギー性疾患の原因になっているのかもしれません。
4、モノクロ処理液は、環境や人体にどのような影響を与えるのでしょうか。
 ハイドロキノン
 
現像主薬はハロゲン化銀を金属銀にする役割を持つ還元剤です。主に使われている現像主薬には、メトール、ハイドロキノン、フェニドンがあります。他には、マミドール、パラミン、グリシン、パイロなどもあります。
 メトールはアグファ社(ドイツ)の商品名ですが今では通称化しています。富士フィルム製はモノール、コダック製はエロンという商品名で発売されています。化学名はP-メチルアミノフェノール硫酸塩。ハイドロキノンも通称で、コダックではヒドロキノンという商品名を使っています。化学名は1,4ベンゼンジオール。フェニドンはイギリスのイルフォード社の商品名(通称となっている)の化学名は、1-フェニル-3-ピラゾリドン。
 現像液は組成によりMQ現像液とPQ現像液に大別されます。MQ現像液はメトールとハイドロキノンの二つの現像主薬が使われ、PQ現像液はフェニドンとハイドロキノンが使われています。どちらのタイプの現像液にもハイドロキノンが使われています。つまりフィルム用および印画紙用の多くの現像液の主薬品として使われているのです。他に処方で作るメトール単液(D-23現像液)やフェニドン単液(POTA現像液)などがあります。
 たとえばフィルム現像液として最も多く使われているD-76現像液は、イーストマン・コダック社が1927年に劇場映画用フィルムの微粒子現像液として開発されたもので、多くの写真家が常用現像液として使ってきました。組成はMQ現像液でハイドロキノンが使われています。
 ところが最近になり重要な役割を持つ現像主薬ハイドロキノンが、発ガン物質であると指摘されています。他の薬害としては「メトール中毒」ということが文献にはありますが、現時点では明確ではありません。解かり次第ご報告させていただきたいと存じます。
 2002年7月、コダック株式会社は、ハイドロキノン使っていない新しいフィルム現像液として『エクストール』の日本での発売を開始しました。データーシートでは、特徴として「アスコルビン酸ベースの白黒フィルム用現像液、ハイドロキノンを不使用」の2点をあげています。富士写真フィルム(株)からは、フィルム現像用としてフジドールE、印画紙現像用としてコレクトールEが1998(平成10)年に発売されていました。「黒白フィルム・印画紙・処理薬品ハンドブック」(平成13年版)では「PQでもMQでもない新しい現像剤です」と紹介されています。つまりハイドロキノンを現像主薬として使っていないということで、替わりにアスコルビン酸が現像主薬として使われていると思われます。
 新しく登場しきた『アスコルビン酸』とはどんなものなのでしょうか。私には目新しいものでしたが実はかなり古くから知られていたもので、実はビタミンCなのです。専門的な写真用語辞典や処方集には紹介されていました。「写真ポケットブック」(共立出版刊・1973年)には「1935年、Maver-ZaptがビタミンCが現像主薬として使えることを発見した。」ことが示されています。ビタミンCですから、人体にも環境にも優しい現像液をつくることができます。しかし残念ながら現在発売されている既製処理剤としては、コダック(株)のエクストールと富士フィルム(株)のフジドールEとコレクトールEしかありません。環境のためにD-76現像液など使い慣れた現像液から、アスコルビン酸(ビタミンC)を現像主薬としているものに替える必要があるのではないでしょうか。
 大阪芸術大学写真学科の里博文先生は、次のようなアスコルビン酸を現像主薬とした独自のフィルム現像液の処方を考案されています。単薬を揃えて調合するのも良いかと思います。ご厚意により許可をいただきましたのでここで公開させていただきます。

 処方
 HB-N1 標準:軟調フィルム現像液
 水--------------------- 750ml
 無水亜硫酸ナトリウム------  8g
 L-アスコルビン酸---------  2g
 フェニドン---------------  1g
 水を加えて---------------1000ml
HB-N2 標準フィルム現像液
 水--------------------- 750ml
 無水亜硫酸ナトリウム------  4g
 L-アスコルビン酸---------  2g
 フェニドン---------------  1g
 水を加えて---------------1000ml
 HB-N3 ハイコントラス被写体用軟調現像液
 水--------------------- 750g
 無水亜硫酸ナトリウム------  12g
 L-アスコルビン酸---------  4g
 フェニドン---------------  2g
 水を加えて---------------1000ml
 撮影露光時間
 HB-N1------N+1(1絞り露光オーバー)
 HB-N2------N  (適正露光)
 HB-N3------N +2(2絞り露光オーバー)
  現像時間
ISO100とISO400の各種のモノクロフィルムに対する現像時間
 N------------20℃、14分
 N+1---------20℃、12分
 N+2---------20℃、10分
※N+1(1絞り露光オーバー)は感度1/2の減感処理、N+2(2絞り露光オーバー)は、1/4の減感処理ということになります。
※大阪芸術大学関係以外の方は、先生のワークショップに参加されるか雑誌での公開をお待ちください。
※メーカーは、『エクストール』(5リットル用のみ)、フジドールEとコレクトールE(1リットル用のみ)のそれぞれに、5リットルのものと1リットルのものを供給していただきたい。また用途別に存在するフィルムに対応するアスコルビン酸ベースの現像液の開発と発売を要望いたします。
※L-アスコルビン酸の購入方法については薬局で相談するか、下記の通販をご利用ください。
 有限会社ランタナ
 住所:〒101-0062 東京都江戸川区中葛西5-20-19
 電話・ファッス:03-3219-6005 
 
E-mail megavita@lantana.co.jp
 http://www.lantana.co.jp/

※500グラムの小容量のものあります。
※『写真工業』1990年9月号に千葉大工学部の三位信夫先生の「ビタミンCと写真現像液」という記事があります。
5、銀(金属銀および銀化合物)
 
調べてみると、銀の持つ毒性についての記述は殆どありません。インターネットで検索すると「銀イオンに毒性はない。仁丹の銀色は銀を使っているからだ」という反論もありました。しかし『化合物の辞典』(朝倉書店、1997年刊)の銀の項目に「銀 SILVER Ag : 元素記号は銀のラテン語Argentumから、英語名はアッシリア語が語源、BC3000年のエジプトやメソポタミヤから銀製品が出土するが、天然銀は金より珍しいことから古代では金より貴重であった。自然銀のほかに輝銀鉱Ag2Sなどがメキシコ、ペルー、アメリカ、オーストラリアなどで産するが、Cu、Pb、Znの精錬からも副産する。写真感光剤の用途が大きく、電気接点、装飾品などに使われる。Ag+は下等動物には毒性があるが、高等動物には毒性は少ない。」という記述がありました。つまり高等動物である人間には悪影響は少ないが毒性がないとは言えないということでしょう。
 「下等動物には毒性があるが、高等動物には毒性は少ない」という点に疑問を持ちました。そこで生物の授業で学んだ「細胞の中にはミトコンドリアが存在する」ことを思い出しました。固有のDNAと遺伝子を持つミトコンドリアは、生物の進化の過程で後から細胞に寄生し一緒に生活するようになったもので、「細胞内で細菌であるかのように振る舞っている」生物内生物。高等生物の細胞で生きる下等動物といってもよいでしょう。細胞内共生説あるいは細胞共生進化説と説明されています。細胞の中には約2000個のミトコンドリアがあり、人体では約12万兆個のミトコンドリアが存在がするいいます。銀はその小さな細胞内のミトコンドリアを直撃し毒性を現すことになりはしないでしょうか。
 私は今まで、銀が溶け込んだ定着液を躊躇することなく下水に捨てていました。

6、どのように廃液したら良いのでしょうか。
 
本題に入りましょう。授業やワークショップで「廃液はどうしたら良いんですか」という質問があります。いつも曖昧な答えをしていました。きちんとした回答ができずに時を過ごしてきてしまいました。このことが、このホームページを作る動機にもなったわけです。
  調べてみますと、1960〜70年代には写真雑誌で取り上げられていました。特に『写真工業』誌は多くのページを費やしています。公害問題と「シルバー・ショック」という銀資源の枯渇問題があったためでしょう。最近では「写真工業」1998年8月号に久門易氏の「自家処理ユーザーの廃液処理」が掲載されていました。水源汚濁防止法によれば、個人的なものと企業的なものでは異なっています。学校や企業は廃液処理業者に委託することが法律で定められています。ここでは学生や一般の方の小規模処理に付いて考えたみましょう。
1)原則的には、廃液処理業者に依頼すること。以下に紹介いたします。
 藤本写真工業(株)では、ホームページの製品情報のQ&Aで次のように述べ、環境保護のために厳格な処理を求めています。許可を得ましたので転載いたします。
Q:個人の暗室を作ったのは良いのですが、現像処理をした後の、現像液や定着液などは、どのように処分すればよいのでしょうか。
A:写真の現像に使用される薬液は、有害な成分を含んでいますので、決して流しやトイレなど下水道に流してはいけません。
 次のような方法で廃液は保存し、一定の量がたまったら、専門の廃液処理業者に処理を依頼してください。
 ・ポリタンク(18リットル)に保存する。 
 ・各種廃液は別々に保存すること。(現像液と定着液を一緒混ぜて保存しないでください。)
 個人レベルでの廃液処理にも対応できる処理業者を以下にご紹介します。最少でポリタンク1つから、引き取り・回収・処理を依頼できます。費用や受け渡し方法などの詳細は下記最寄りの事業所にお問い合わせください。

松田産業株式会社 環境事業部
本部 
〒176-0014 東京都練馬区豊玉南2-20-3 電話03(3993)7531
仙台 
〒983-0036 宮城県仙台市宮城野区苦竹1-6-45 電話022(236)325I1
埼玉 
〒358-0034 埼玉県入間市根岸東狭山59 電話042(934)5331
東京 
〒176-0014 東京都練馬区豊玉南2-20-3 電話03(3993)3301
千葉 
〒260-0032 千葉県千葉市中央区登戸5-4-9 電話043(247)7141
神奈川 
〒243-0801 神奈川県厚木市上衣知1255-6 電話0462(46)2018
横浜
〒241-0805 神奈川県横浜市旭区都岡町6-4 電話045(954)1121
静岡 
〒424-0064 静岡県静岡市長崎新田438 電話0543(48)3833
名古屋
 〒470-1112 愛知県豊明市新田町大割32-1 電話0562(95)2111
大阪 
〒555-0043 大阪府大阪市西淀川区大野3-1-28 電話06(6475)3301
福山 
〒721-0952 広島県福山市曙町5-26-11 電話0849(57)2365
福岡 
〒812-0051 福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6-1-7 電話092(631)1531


・相田化学工業株式会社 Ag営業部

〒183-0026 東京都府中市南町6-30-1
電話 042-368-6311  FAX 042-368-3552
 ※日本写真学園が処理を依頼しています。

・誠和工業株式会社
 〒273-0853 千葉県船橋市金杉2丁目1-9
 電話 047-438-3451 FAX 047-439-4643


・グレイス・フォト・リミテッド

 〒543-0042 大阪市天王寺区烏ヶ辻1-9-20フォレストビル2階
 電話 06-6773-4126 FAX 06-6773-6701
ホームページ http://www.graltd.com/
※写真用品を扱うプロショップですので、処理業者との仲介をしてくれるとのことです。
※地域の保健所に問い合わせれば教えてもらえると思います。

2)小規模な処理であっても、原則的には廃液処理業者に依頼する必要があります。しかし難しい場合は、次善の策として大量の水と共に下水に流すことも仕方がないかと思います。その場合も環境汚染をしていることを自戒しつつ、処理液は環境に優しいものに替えてください。

現像液
 アスコルビン酸(ビタミンC)を現像主薬としている現像液を使うようにしましょう。
 フィルム現像液:エクスドール(コダック)、フジドールE(富士写真フィルム)、印画紙現像液:コレクトールE(富士写真フィルム)
 ※アスコルビン酸は食物添加剤です。
停止液
氷酢酸溶液の停止液を、クエン酸溶液の定着液に換えましょう。
 コダックSB−7(無臭現像停止液)
 水------------------------1000ml
 クエン酸(フィルム用)------37g
     (印画紙用)--------15g
 ※最新写真処方便覧(写真工業出版社刊・1983年)より。但しアルカリ性の強い印画紙現像用停止液より、フィルム用の方がクエン酸の量が多くなっています。誤植で逆だと思われます。
 ※クエン酸は食物添加剤で健康に良いといわれています。
定着液
 定着液1リットルあたり2個のスチールウール(鉄製のたわし)を投入し6時間ほどで取り出します。表面に金属銀が付着します。また一昼夜入れておいて泥状になったものをコーヒー用のフィルターで濾過して取り出す。いずれにしても「燃やせないゴミ」として捨てましょう。残りの定着液は大量の水と共に下水に流しましょう。
※現像液や停止液を環境に優しいものに替えてさらに定着液から銀属銀を取り除いたとしても、廃液はアルカリ溶液であり酸性溶液であるわけで液別に大量の水と共に流す必要があります.
 冨士写真フィルム鰍ナは次のように処理することを勧めています。

 廃棄方法についての注意
・手現像処理の場合の現像液・定着液などの使用済みの液は大量の水で薄めて下水道に流してください。この場合異種の液(例えば現像液に対して定着液など)を同時に流すことは避け、1種類の液を流し終えたらしばらく水を流し、次いで希釈した次の廃液を流し込むようにしてください。
・自動現像機処理の場合の廃液・排水
 自動現像機は水質汚濁防止法施行令第1条特定施設第68号に該当します。よって廃液や水を排出する際は、事前に法律で定められている排水規則の基準内にあることを確認して、排出基準内におさえるのが難しいときは、産業廃棄処理業者に委託するか、処理施設を設置するなどの方法をとる必要があります。
・水質汚濁規制対象の液
 赤血塩、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸銀など規制の薬品を含む廃液は、水質汚濁防止法により下水道に直接流すことは禁止されています。
 これらの廃液を処理業者に委託する場合は、特別管理産業廃棄物処理の免許を持った業者へ、特別産業廃棄物管理票(マニフェスト)を添えて処理を委託してください。
 ※『黒白フィルム・印画紙・処理薬品ハンドブック』(平成13年版)より

※一般な暗室処理では関係ありませんが、調色や減力処理など少し特殊なことをやろうとすると上記の薬剤を使うことになります。処方集などで確認し慎重な扱いをすることが大事でしょう。
※都内の某写真教育機関では水洗トイレで廃液処理していました。「ある時、トイレ掃除用洗剤を入れて効果を高める為に1時間ほど放置しておきました。そこに現像液を捨てたところガスが発生して大変な思いをした」と担当者が話していました。やはり富士写真フィルム(株)の注意を守るべきでしょう。