写真界ニュース


 デジタルフォトの急追で写真の世界は危機を迎えています。私たちも写真界の動向には神経を使わなければなりません。銀塩写真あるいはモノクロ写真に関するニュースを掲載したいと思います。

「日光写真」を見つけた!!

 十数年前に専門学校東洋美術学校の「写真論」の講師を引き受けるとき、学生の興味を引くようなものは無いかと探したものがありました。それが「日光写真」でした。その時から数年前にテレビで「写真」を紹介する番組がありました。そのなかで「日光写真」が取り上げられていたのです。「まだあったのか。」というのが率直な感想でした。そこでJR日暮里駅に隣接した「駄菓子・玩具問屋街」に行って探しましたが探し出せませんでした。お店の人に尋ねると「そうね!3年ぐらい前まではあったかな。」という返事。諦めなければなりませんでした。今年に入ってJR日暮里駅東口再開発のため問屋街はなくなり問屋さんは四散したようです。これも時の流れでしょうか。
 ところがあったのです。ただし輸入物。商品名はSunprint Kit。製造元は何とカリフォルニア大学バークレイ校LARENCS HALL OF SCIENCE。輸入・販売元は、ギャラリーRoonee・247フォトグラフィ。写真の原点「光化学反応」を楽しんでみたらいかがでしょうか。
 案内文には「紫外線で感光させる『日光写真』キットです。サイアノプリント(古典印画法)を思わせる美しい青と、日光で感光させ、あとは水洗するだけの簡単さが魅力です。ピクニックのお供に、子供の科学遊びに、本格的な作品作りにお楽しみ頂けます。」とありました。
 問合せ先:Roonee・247フォトグラフィ 杉守さん
 電  話:03-3341-8118  メ ー ル:mosimosi@roonee.com
(2006年11月8日)

GEKKO印画紙、3月末で製造終了!

 3月9日、三菱製紙株式会社は「2006年3月末日でモノクロ印画紙および処理薬品の製造終了」を発表しました。詳しくは同社の公式サイトでご確認ください。いずれにしてもモノクロ作家としては憂うる状況となっています。
 モノクロ愛好者を増やしモノクロ感材の需要を増やすことが必要です。そのためには、多くの方々にモノクロ写真に接する機会を用意することが必要でしょう。このHPをご覧いただいています皆様のお力が必要です。それぞれの場でモノクロ作品を発表していただきたいと存じます。
 私が属する社団法人日本写真家協会が主催する公募展「JPS展」の会員コーナーはモノクロ作品に限られています。是非ご覧ください。開催時期が迫りましたら「写真展紹介U」にてお知らせいたします。
(2006年3月16日)


高校生が、銀板写真と湿板写真に挑戦
 2005年3月22日付け朝日新聞(茨城判)は、「県立牛久栄進高校の理科同好会の生徒が、写真発明とされている銀板写真と古典的な湿板写真に挑戦し製作に成功した。」と伝えています。指導は写真部の顧問でもある川北 弘先生。
 
銀板写真は、1839年フランスで写真の発明として公開されたもの。発明者のルイ・ジャック・マンデ・ダゲールの名前からダゲレオ・タイプとも呼ばれています。画像形成時に水銀を使うため大変危険なものです。
湿板法は正確にはコロジオン湿板法とよばれるもので、1851年フレデリック・スコット・アーチャーによって発明されました。撮影現場でガラス板に感材を塗り,即撮影即現像というものでした。従って馬車やテントの中で作業をしなければなりませんでした。しかしこれによってクレミア戦争や南北戦争が記録され、また南北戦争後の西部開拓史も記録されています。
 いずれにしても写真の専門学校レベルでは成しえないことを成功させた、高校生の皆さんに賛辞を贈りたいものです。





評論集「写真論」の著者スーザン・ソンタグ女史逝去

 示唆に富んだ評論集「写真論」の著者スーザン・ソンタグさんが、2004年12月28日朝ニューヨークで逝去されました。詳しくは、朝日新聞の切抜きを添付しておりますのでお読みください。
 
評論集「写真論」は写真表現をおこなうものにとって必読の書といって良いでしょう。近藤耕人氏の翻訳が、晶文社から1979年に出版されています。現在も入手可能なはずです。



ILFORD社(英国)が大変!モノクロ印画紙はどうなるか?

 中外写真薬品株式会社のホームページに「ILFORD社に関するプレスリリース」(2004/9/22)が掲載されています。「イルフォードイメージングが大きな市場シェアーを保有するモノクロ写真市場の縮小は継続しています。」という一節がありました。私には、モノクロ印画紙の製造中止を意味しているように受け止められますが、いかが思われますか。英文と和訳がありますので是非お読みいただきたいと存じます。
中外写真薬品株式会社のホームページは更新が進んでいます。「過去ニュース」でお探しください。

写真感光材料工業会が「写真の定義」を作
 2004年7月13日付け「週刊カメラタイムズ」に、次のような記事がありましたので要旨をご紹介いたします。
 ゛写真感光材料工業会は、「インクジェットプリンター」等の広告表現の中でインクジェットプリンター等で出力したものを「写真」として説明するケースなど、写真の定義が不明瞭になったとして、次のような「写真」に関する定義(ガイドライン)を発表しました。
 「
日本工業規格 Z8120」による「写真とは光、放射線、粒子線などのエネルギーを用いて、感光物質上に視覚的に識別でき、かつ、ある期間持続性がある画像を形成する技術及び記録された画像」とした写真の定義を踏まえて、その典型例が従来からの感光材料を使用する写真であるとして、「写真」用語使用の可否について次のような基準を作成しました。
1、
撮影の場合‥‥デジタルカメラでも「写真を撮る」は可。(理由‥光で撮影している)
2、
出力の場合‥‥インクジェット方式、昇華型方式及び感熱方式で出力したものを「写真」「フォト」「写真プリント」「フォトプリント」と表現することは不適切としている。
 ただし「日本工業規格 Z8120」の定義に該当しない「インクジェット写真」「IJ写真」「フォトグレート」「写真画質」「フォトライク」「写真調」といった@「写真」の前後に出力方式を付したものA「写真」との対比でグレードや調子を表現したもの---については使用可としている。

※至急写真感光材料工業会より、広報資料を入手しここで公開いたしたいと存じます。
※8月5日(木)半蔵門にある写真感光材料工業会に伺い専務理事さんと面談いたしました。マスコミ各社に配布した資料をいただきましたが、「週刊カメラタイムズ」の記事が全てでした。
 ここでは、前ぶりの部分つまり
プリンターメーカーの広告表現に対する部分を省略いたしました。

アンリ・カルティエブレッソン氏逝去。
 ライカの名手として知られる写真家アンリ・カルティエ・ブレッソン氏が2004年8月3日南フランスの自宅で逝去されました。享年95歳。写真家集団のマグナム・フォトスの創立メンバー。
 現在広く使われている『決定的な瞬間』という言葉の元となった写真集『決定的瞬間』は一般の方にも知られています。